王に愛された女
オラシオンはフィオーレの肩に触れた。
言うべきか迷ったが、オラシオンは続けた。
「殺した。そうだろう?」
「!!」
フィオーレの肩が震える。
「憎むべき相手ではないのか…?」
「そりゃ、伯爵のことは憎んでます。けど、炎の神を殺して伯爵まで殺すのは間違ってる…そう私は思います」
オラシオンはフィオーレの肩から手を離した。
「なら良い」
そのまま席に戻り、席からフィオーレを見る。
「…どうだ?ガブリエルに会って行くか?」
「いえ…。私は今からガトヤへ戻ります」
止めようかとオラシオンは迷ったが、その考えは打ち消す。フィオーレの選んだ道だ。彼の進みたいように進ませればいいだろう。
「ルーク、門まで送ってやれ」
「わかりました」