王に愛された女
楽師の演奏がフィナーレに差し掛かったところでオラシオンはキスをやめた。
顔を真っ赤にして目を見開いたガブリエルの頭を優しく撫でる。
「期待に応えようなんてするな。オマエはオマエらしくしてればそれでいい」
オラシオンの言葉にガブリエルが小さく頷いた。
そんな彼女をこれほどまでに愛おしいと思ってしまうなんて、病気だろうかとオラシオンは少し不安になる。
「けど、俺のことを男として扱うのは忘れるなよ」
「…うん」
オラシオンは再び宴に意識を戻した。
楽師たちの演奏が止み、続いて踊り子たちが現れた。
王宮内の踊り子は後宮の女人の中でも特に綺麗な女人だけが選抜されている。
「皆さん綺麗だなぁ…」
ガブリエルが呟いた。
「オマエほどじゃない」
オラシオンはガブリエルに囁く。
「またまた~、冗談はダメだよ」