王に愛された女
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「おかしくないか?」
「何がですか?」
オラシオンとルークの会話が王宮のダンスフロアの近くから聞こえた。
ガブリエルは会話が気になってこっそり二人に近寄った。
「ガブリエルの刻印が、あんな短期間で二度の覚醒を終えた。伯爵もアリシアもあんなに短期間じゃなかった筈だ」
ガブリエルは足を止めた。
二人の会話が自分のことだとわかった今、二人に近づくことが躊躇われた。
「伯爵は炎の神、アリシアは水の神、では新王妃様は?」
ルークが小声で尋ねる。
「あの色からして、おそらく風の神だ」
「にしても、ガトヤに三人目の神の資格を持つ者がいるなんて…」
ガブリエルは耳を疑った。
刻印が、神の資格を持つ者の証だとでも言うのだろうか?
「しかも偶然にもオマエが神の資格を持つ者を連れてくるなんてな。おまけに俺の好みの女だとは思わなかった」
ガブリエルは左にあった壁に背中を預け、その場にしゃがみこんだ。