王に愛された女




「…ただ…」

 ルークが言いにくそうに切り出す。

「なんだ」

「いや…新王妃様が風の神の刻印を持っていて王様が風の神の力を宿した剣を持っているなんて…」

「そうだな」

 オラシオンとルークの声が徐々に近づいてきた。

「…いいんですか?」

 ルークの声が、すぐ傍で聞こえた。

 ガブリエルはその場を離れようとしたが、遅かった。

「ガブリエル…」

 オラシオンの声に、ガブリエルは顔を上げる。

 オラシオンとルークが訝しげにガブリエルを見下ろしていた。

「…聞いていたのか」

「うん…」

 ガブリエルは素直に頷く。

「そうか。まぁいつまでも隠せないとは思っていた」

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