王に愛された女
オラシオンはそう言ってガブリエルの目線に合わせうようにしゃがみ込んだ。
「全て話すよ」
オラシオンの話は驚くことばかりだった。
ガブリエルの刻印が風の神の証であること。
証は生まれたときからついていて、ガブリエルは神の子であるということ。
ガブリエルの父ミハエルは、神の証について知っていたこと。
オラシオンが持っている剣はガブリエルの力を封じ込めたものであること。
あと一人、ガブリエルと同じような刻印を持つ者がどこかにいるということ。そしてその人物こそが全ての神の母体である可能性が高いこと。
「…以上だ。ずっと隠していてすまなかった」
オラシオンが悲しそうな顔で言い、ガブリエルは首を振った。
「平気」
「君のお兄さんが、君自身に証のことを調べてほしくて黙秘するよう嘆願されていた」
オラシオンの大きな手がガブリエルの顔の前に差し出される。
ガブリエルはその手を掴んで立ち上がった。
「教えてくれて、ありがと…」