王に愛された女
天井から水が落ちてくる神秘的な世界――まるで、本で読んだ神の世界を連想させる世界だった。
「…―――大丈夫?」
ボーッと考え事をしていたオラシオンを現実へ引き戻したのはガブリエルの心配そうな声だった。
「え?あ、あぁ…」
「一人で出かけてたけど、どこへ行っていたの?」
ガブリエルが不安そうな顔で聞いてきた。
「…いや、別に…」
「私に言えないところ?」
オラシオンはガブリエルの髪を撫でた。
「…言いにくい場所だけど、でも大丈夫。別に女遊びをしてたわけじゃない」
ガブリエルの泣きそうな顔を見て、オラシオンはなだめるように言った。
「…溜まってるの…?」
「溜まってなんかない。オマエがいれば、それで俺は十分だ」
オラシオンはガブリエルを強く抱きしめた。
「…城下町の店を回っていた」
オラシオンはローグに会う前のことだけを話した。