王に愛された女





 夜、国王に呼び出され、ルークは彼の部屋に入った。

「王様、話というのは?」

 国王と王妃が結ばれてから、チェスをすることがなくなってしまったため、チェスを彼と指すのは新鮮なところもあった。

「…あぁ、ガブリエルのことなんだが…」

 ポーンを動かしながら国王が呟くように切り出した。

「王妃様のことですか?」

「…正確には、彼女の刻印のことだ」

 ドキッ

 胸が高鳴った。

 宝探しをしていたハンターが宝を見つけ出した瞬間に似た感情が胸の中に押し寄せる。

「何かあったのですか?」

 ルークは、心中を悟られないように細心の注意を払いながら聞いた。

「…もう、四人目の刻印の持ち主を捜す必要はない」

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