王に愛された女
どうにかこの場はやり過ごせたな。
ルークはホッと一息ついた。
「…で、王様。王妃様の刻印の話というのは…?」
ルークは話の先を促す。
「実は、神の資格を持つ者は、ガブリエルだった」
オラシオンの言葉に、ルークは「やはりな」と思った。
だが、顔には出さない。
まぁ、長い前髪で目元が隠れているのだから顔に出しても気づかれることはあまりないだろうが。
「…どうした?驚かないのか?」
国王が不思議そうに言った。
「…驚きすぎて、反応に困っただけですよ」
そう答えつつも、ルークは警戒心を怠りはしない。
もしかしたら、国王はもう勘付いているのかもしれない。そう思った途端、背中を冷たい汗が流れた。