王に愛された女
目を疑った。
だが、今起こっていることは嘘ではなく現実なのだ。
オラシオンは数回瞬きを繰り返し、ルークの左手を見た。
だが、何度見ても、彼の左手に握られているのは選ばれた者だけが持つことのできる神の力を宿した剣だった。
「…まさか…」
呻くような情けない声が、自分の口から飛び出した。
だが、そんなことを気にしていられるほどオラシオンには余裕がない。
「…そのまさかですよ王様」
ルークがニヤリと笑う。
そして、長い前髪を右手で大雑把に掻き上げた。
「…ルーク…!貴様…っ」
オラシオンは、ルークの目を見つめたまま動けなくなった。
ルークの右目は金色、左目は銀色をしていたのだ。