王に愛された女
ルークの言葉にオラシオンは息を呑んだ。
水にうつった山…―――それは、神の力を宿した剣の在り処と同じ場所だった。
「…俺は、その山に足を踏み入れた」
ルークが呟く。
ドクンドクン…
心臓がやけに大きな音を立てている。
オラシオンは大きく息を吐き出した。
「そこで出会ったんだ、この剣とね…」
ルークが剣から顔を上げ、ニヤリと笑った。
「…オマエは、ホッカ村襲撃を企てたと言ったな?」
ようやく口から出たのはそんな言葉だった。
「そうだ」
「なぜホッカ村だったんだ?ガトヤにはたくさんの村がある。なのに、何故ホッカ村を選んだんだ?」
オラシオンは聞きながらも、自分の情けなさに拳を固めた。
自分の声だと思えないくらいに声が震えていた。
「…決まってる」
ルークが小さな声で言った。