王に愛された女
オラシオンはルークを見た。
「……王妃が、いたからだ」
雷で撃たれたような衝撃を受けた。
ガブリエルがいたことを、何故ルークは知っているのだろう?
少なくとも、ルークが重臣になってからは一度もホッカ村に視察へ行ってはいなかった。
「…どういうことだ?」
オラシオンはルークを食い入るように見つめる。
「アンタも、わかってるんだろ?…俺に共犯者がいたことくらいは」
両手をグッと握りしめた。
背筋が凍りつくような思いがする。
「…共犯者…だと…?」
「…もう予想ついているんじゃないのか?」
ルークが掻き上げた髪に指を通した。
「…っ」
「…わかってんだろ。王妃と同じ村出身で、王妃の情報を俺に提供した女官だ…」
オラシオンは胸を押さえた。
頬を冷たい汗が伝っていった。