王に愛された女



「あいつは…俺らのことなんてどうでもいいんだ…」

 優しいフィオーレの言葉にガブリエルは戸惑った。

「お兄ちゃん…?」

 ガブリエルはフィオーレの視線の先を辿る。

 村の小高い丘を歩いているのは、紛れもなく村長とその家族だった。

「あいつらは…俺らのことを人間として扱っていないんだ!俺らなんて、虫けら同然なんだ!」

 フィオーレが拳をグッと固めた。

 その時だった。

 ガブリエルは背中に走った激痛に顔を歪めた。

「ガブリエル!」

 ガブリエルは後ろを見た。

 襲撃犯の誰かが撃った弾が当たったのだ。

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