王に愛された女



 ガブリエルの手首と足首に鎖のついた手錠がかけられた。

 鎖はガブリエルが座っている床に繋がっている。

「…私、どうなるの?」

 ガブリエルが震えた声で聞いてきた。

「ムロヤへ行くんだ。安心しな。ここより絶対楽な生活できるから」

 フィオーレはガブリエルの頭を撫でた。

「わかった」

 ガブリエルが頷くのを確認して、デルモンテがガブリエルの入っている檻の扉を閉めた。

 彼は南京錠の鍵をかけ、檻の前に立っている奴隷商人のイシュトヴァンに鍵を渡した。

「バイバイ、ガブリエル」

 フィオーレは妹に声をかけた。

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