王に愛された女
オラシオンはそう言ってため息をついた。
「そういえば、今日は奴隷市の日でしたね」
「だからどうした」
「貢ぎ物も滞っていることですし、仕入れに行きますか?」
ルークは楽しそうに言いながらオラシオンのキングを確実に追い込んでいく。
「いらない」
「もしかしたら、絶世の美女が売られているかもしれませんよ」
「奴隷の中に美女がいた試しなどない」
オラシオンはキングを動かした。
「王様もたまには貢ぎ物を選びませんか?」
「いらぬと言っているだろう!奴隷などいらない!」
オラシオンは駒を盤に叩きつけるようにして置いた。
「チェック」ルークが言った。「俺は奴隷の中に美女がいるか見に行きますが。異議は?」
「またか…。異議はある。だが止めてもオマエは行くんだろう?なら異議を唱えても無駄だ」