王に愛された女
「王様、久しいですね」
アリシアの赤い目がオラシオンを見上げる。
大きなその目は、猫のような目だった。オラシオンはアリシアの髪をなで、それから後宮にある寝室へ向かった。
「私以外の女に目移りしていたのですか?」
アリシアがベッドに腰掛ける。
「いや、そうではない。単に時間がなかっただけだ」
オラシオンはアリシアを抱き寄せると、首筋にキスをした。
「それを聞いて安心しました」
アリシアの声を聞きながらオラシオンは、やはり女は遊び道具でしかないという認識に確信を持った。