王に愛された女
ガブリエルは腰に巻いたベルトに提げた袋に見つけた玉を入れた。
「…これ、何なんだろう」
呟いて歩き出す。
玉は半透明の赤色の玉だった。
親指と人差し指で丸い形を作ったくらいの大きさだ。
ガブリエルは時折右手で袋に触れながら歩いた。
石を村の出入り口に置かれた荷車に入れ、ガブリエルは元来た道を戻った。
炭鉱まで戻り、また石を運ぶ。
「…おなかすいたなぁ」
ガブリエルは呟いた。
「ガブリエル、さっき何を見つけたのか教えてよ」
フィオーレが籠を背負いながらガブリエルに言った。
「え?」
「なんか見つけたんだろ?」