王に愛された女
「君はこれから王宮で暮らすんだ」
ルークが言うと、少女は目を見開いた。
「王宮?」
「そうだ。過ごしやすいところさ」
「…怖くない?」
「大丈夫。ところで君、名前は?」
ルークは彼女を馬に乗せた。
手綱をしっかりと握り、膝の間に彼女を乗せる。
「ガブリエル」
彼女は怯えながら名乗った。
「ガブリエルか。覚えておくよ」
ルークはガブリエルの頭をなでると、馬の腹を蹴った。馬がいななき、そして王宮への道を駆けだした。