王に愛された女
馬を下りると、ガブリエルは連れてこられた王宮を改めて観察した。
王宮はレンガで作られた城で、さっきまでいた城下町を一望できる高い場所にあった。
もう少し上には竜巻によく似た何かで覆われた後宮がある。だが、どんなつくりなのかはわからなかった。
「こっちだ」
白いコートを身にまとったルークがガブリエルを手招きする。
ガブリエルはルークの後に続いて王宮に足を踏み入れた。
王宮の中はつい昨日までガブリエルがいた場所とは違って広々としていた。
天井からはシャンデリアがつりさげられ、床には赤い絨毯が敷かれている。
フロアの左右には上のフロアに行くための階段がある。
「すご…」
ガブリエルは感嘆の声を漏らした。
「こっちだ」
またルークが手招きした。左の階段を上ると、そこにはいくつものドアがはめ込まれた長い廊下があった。