王に愛された女
「ここでしばらく待ってて」
ルークはそう言って立ち去ろうとする。
「え?」
「王様がいらっしゃるか確かめてくるだけだから」
彼はそのまま立ち去ろうとする。長い前髪で目が隠れている彼がどんな表情をしているのか、ガブリエルにはわからなかった。
「私はどうしてたらいい?」
「そこで待っててくれたらいい」
ルークは廊下に並んだ椅子を指さす。
「いなかったらどうするの?」
ガブリエルは不安になって聞いた。
「そしたら王様が帰ってくるのを待てばいいだけだ」
ガブリエルはルークが去っていくのを見送った。