王に愛された女



「ここ、広いと思わないか?迷子になりそうで困るな」

 フィオーレがガブリエルに目線を合わせて言った。

「私、まだこの椅子に座るとこまでしか見てないからわかんない」

 ガブリエルはフィオーレの顔を観察した。

「…ん?」

「私、あなたとどこかで会ったっけ?」

 フィオーレは少し驚いたような顔をして、すぐに微笑むと

「君が奴隷として売られる一日前に会ったと思うよ」

 そう答えた。

 ガブリエルは首を横に振る。

「そうじゃなくて」

「じゃあどうしたの?」

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