王に愛された女



 王が目を見開く。

 ルークがニヤリと笑うのが見えた。

「…どうです?気に入りました?」

 ルークが聞く。王はそっぽを向き、

「普通だな」

 と答えた。

「素直じゃないですね、王様」

 ルークが言うと、王は鼻を鳴らした。

「俺は素直だ」

「…それはどうもすみませんね、王様」

 皮肉っぽく言ったルークがガブリエルの背中を押す。

「きゃっ」

 ガブリエルは王に抱き着く形になった。

「…大丈夫か」

 王の低い声にガブリエルは震えながら頷いた。

< 79 / 267 >

この作品をシェア

pagetop