王に愛された女



 ガブリエルは顔を上げた。オラシオンの鋭い目がガブリエルを睨むようにとらえている。

 その恐ろしさに、生きた心地がしないガブリエルは素早くオラシオンから離れた。

「あ、あのっ、失礼しましたっ!」

 頭を下げる。オラシオンの少し大きな手がガブリエルの頭を撫でた。

「きゃっ」

「怯えることはない」

 オラシオンの低い声が耳元で囁いた。

「王様、ガブリエルと後宮で寝て来てはいかがでしょう?」

 ルークが言う。ガブリエルはオラシオンを見上げた。

「断る」

 
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