王に愛された女



 ガブリエルは国王を睨んだ。

「フン…俺にたてつこうってか?」

 国王は気にくわないなと言いたげに言って、ガブリエルの顎を掴んだ。

「んっ」

「ルーク。俺も後宮に行く。こいつは俺を楽しませてくれそうだ」

 国王は楽しそうに言って、ガブリエルの顎から手を放した。

 何をされるのかはわからないが、少なくともガブリエルにとってはいいことではなさそうだ。

「後宮…って?」

 ガブリエルはルークに尋ねた。

「王宮よりもう少し上にある建物だ」

 ルークの言葉に、ガブリエルは、さっき見かけた竜巻で覆われた建物を思い出した。

 きっとあそこが後宮なのだろう。

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