王に愛された女
「ほら行くぞ」
オラシオンの大きな手がガブリエルの腕を掴んだ。
ガブリエルは驚いてオラシオンを見上げた。
「…オマエ、細いな」
オラシオンが呟く。
「え?」
「やっぱり、まだガトヤは貧乏なんだな…」
ガブリエルは何も言わなかった。
後ろをチラッと見ると、ルークがだいぶ後ろをゆっくり歩いているのが見える。
「…ガブリエル」
名前を呼ばれ、ガブリエルはオラシオンを見上げた。
「…いや、なんでもない」