ブラックⅠ-出会い-



目の前の金髪の男は扉の前で一度立ち止まると


「バカな女」


一言そういって、ニヤリと笑った。上げられた口角からは八重歯が見える。


隣に立って初めて気が付いた、この人相当かっこ良い。


無造作にセットされた髪は綺麗な金髪、力強い瞳に綺麗に整った顔立ち。


それにしても初対面でバカな女って…まぁ知っているけれどね、そもそもバカじゃなければこんな所来ない。


正常な人間で正しい道を歩んできたんだとしたら、こんな所に足を運ぶわけがない。


「今日のあいつ機嫌悪りぃから、まぁ気を付けな」


重たそうなドアノブを引けば、目の前に広がる薄暗い空間、タバコの香り、コーヒーの香り、そしてほのかに香る香水の匂い。






< 12 / 376 >

この作品をシェア

pagetop