ブラックⅠ-出会い-
目の前の金髪の男は扉の前で一度立ち止まると
「バカな女」
一言そういって、ニヤリと笑った。上げられた口角からは八重歯が見える。
隣に立って初めて気が付いた、この人相当かっこ良い。
無造作にセットされた髪は綺麗な金髪、力強い瞳に綺麗に整った顔立ち。
それにしても初対面でバカな女って…まぁ知っているけれどね、そもそもバカじゃなければこんな所来ない。
正常な人間で正しい道を歩んできたんだとしたら、こんな所に足を運ぶわけがない。
「今日のあいつ機嫌悪りぃから、まぁ気を付けな」
重たそうなドアノブを引けば、目の前に広がる薄暗い空間、タバコの香り、コーヒーの香り、そしてほのかに香る香水の匂い。