ブラックⅠ-出会い-



「出せ」



車に乗り込むと後部座席のシートに深く座ってレイジは目を閉じる。




これはいつものこと、レイジがベラベラ喋るとは思ってないけど、車に乗り込むといつも直ぐ寝ようとする。




運転手さんは基本いつも違う人で、今日はスキンヘッドのアキラさん。倉庫を出て五分くらいたったころ、私が今日の出来事をアキラさんに話していた時だった




「それでね!イツキが」




ドオォンっ!!





「きゃっ!!」



大きな音、それと同時に車体が激しく揺れ寝ていたはずのレイジが私を直ぐに抱きしめた。




「何!?」



何がおかきたの?何の音?
なんで車が揺れたの?



何かがぶつかった音なのか、アキラさんが急ブレーキをかけたから車体が揺れたのかなんて分からない。



「止まるんじゃねぇ!出せ!!!」




普段は大きな声なんて出さないのに、大きな声で怒鳴るレイジがただ事じゃない
と告げている。



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