ブラックⅠ-出会い-



「クッソ」




一体何かが起きているのかなんて私に理解出来るはずもなく、レイジが私を頭から包み込むようにして抱きしめた。



その時見えたフロントガラスはまるで蜘蛛の巣のように白くたくさんのヒビが刻まれていて、何かが車にぶつかったんだってことが分かる。




「レイジ…」




だけどそれが事故じゃないって事くらい私にも分かった。

誰かの手によって意図的に付けられた傷なんだと。





「大丈夫だ、お前には指一本触れさせねぇ」



レイジがギュッと私を強く抱きしめる。




「なんでよりによってアオイが乗ってる時に」



微かに震える私の手、それに気が付いたレイジが肩を抱きながら私の震える手を握ってくれていて、



「後ろの奴ら巻いてから倉庫に戻れ!」




後ろ?

レイジの言葉に後ろを振り向くと、数台のバイクが後をつけていた




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