ブラックⅠ-出会い-
けどそのバイク達は直ぐに着いてこなくなり、ものすごいスピードで走りつづけていた私の乗る車も少しスピードを緩めていく。
レイジは私を抱きしめたままポケットから携帯を取り出すと、そのまま耳へ当ててどこかへ電話をかけている。
「銀狼神(ギンロウシン)の奴らが狙って来やがった、追わせろ」
電話はそれだけで直ぐに切られ、レイジは片方私から離していた手を再び私の背中へと回してくれる。
「もう大丈夫だ、怪我してないか?」
いままで聞いたことがないくらいあまりに優しい声でレイジが聞くもんだから、さっきの、恐怖でうっかり涙がポロリと垂れ落ちて服へとシミを作っていく。
「うん、大丈夫。ビックリしただけ…」
「悪い、怖い思いさせたな」
レイジの顔は少し眉が下がって心配そうに私を見つめるから、私がフルフルと首を横に降るしかできなくて、レイジの広い胸に顔を深くうずめた。