ブラックⅠ-出会い-



夜の繁華街は異様な雰囲気を醸し出していて、綺麗に着飾る夜の蝶やホストで埋め尽くされていた。


その中でも私の隣にいる彼は、ただ黒いスーツを着ているだけなのに、ひときわ目立つ。いや、どこか不思議な雰囲気が彼を包んでいるんだと思う。



「リュウガさんだわ!今日もステキ」なんて声が色んな所からちらほら。

でもその次に聞こえてくるのは「あの女誰?見たことない」だとか「肩をだいてる」とかそんな言葉。



レイジと一緒にいた時みたいに、攻撃的な言葉は飛んでこないにしても、私の事を話しているのは確実で、思わずうつ向く私に



「俺との約束、忘れたわけじゃないよな」



見上げた先にはどこか優し気に、そして魅力的に微笑むリュウガ。


「俺の為に生きる覚悟」そのリュウガの言葉を思い出す。



「下を向くな、怖いものなんて何もない。俺が隣にいる」



ドクンドクンと熱を持ち音を上げる心臓。最近の私はどうかしてる。リュウガといると心臓がおかしくなりそうで…まるでぎゅっと心を握られたみたいな感覚



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