ブラックⅠ-出会い-
すごく綺麗な人だと思った。
品があって色白で、どこか儚そうで。
私にはない大人の色気がある。
ミクと呼ばれた女の人はごく自然にリュウガの腕に自分の腕を絡ませると優しく微笑んだ。
その行動をこの店内の人皆がみているけれど、私の時みたいに野次を言う人は1人だっていない。リュウガとミクさんは凄くお似合いだった。
なんだろう、なんだか胸がざわつく…
やっぱり最近の私は変だ。
「今日は遅かったのね、店長ならあっちよ」
「あぁ」
ミクさんのさっきの言葉に、リュウガが良くここへ来ているんだということが分かる。
二人をあまりに目で追ってしまっていたからから、
「あいつはここのナンバーワンなんだ」
私の横で同じ方向を見たアキさんがそう呟く。
「うちの組はこの街にいくつもキャバクラ バー クラブを持ってる。リュウガはそこを管理する仕事を任されてるから、こうやって良く店に顔を出さなきゃならない」
「そうなんですね…」
「だからあれは仕事」
そう言ってアゴでアキさんが言う「アレ」とは私と同じ目線の先。リュウガとミクさんの絡まる腕。