ブラックⅠ-出会い-



テレビのリモコンを手に取りながら真っ暗な画面をみていると不意に今日の事を思い出して手を止めた。



「レイジ、大丈夫かな」



モコモコの着心地が良いショートパンツのポケットから携帯を取り出して電話帳へと画面を動かす


今日は何かやることがあるらしいレイジ。さっき車が襲われた事も関係してるんだろう。


私はレイジが守ってくれたけど、何かあったときレイジを守る人はいるんだろうか。


もちろんイツキやカエデもそうだ。
今日は車だったからよかったけど、もしあれがバイクだったら?バイクでレイジが1人の時だったら?と考えて思わず鳥肌が立った。



運命か、それとも必然か
偶然にもレイジへと電話をかけようとした私の元へ



『寝てたか?』



レイジからの電話。



「まだ起きてたよ」



むしろレイジにちょうど電話しようとしてたところ。なんていうのはわざわざ言わないけど、



さっきは覚えとけって言ったレイジ。
ものすごく怒っていたレイジ。


そんな事言ってたのなんてスッカリ忘れて電話しようとしていた私




『リュウは一緒か?』



今はレイジが怒っていないことにホッと胸を撫で下ろしながら



「お風呂に入ってる」



『そうか』という電話の向こう側の声の後、持っていたテレビのリモコンをソファーへと置いた。


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