ブラックⅠ-出会い-



『今日は悪かった』



レイジは何にも悪くない。悪くないのに彼は謝る。いつも偉そうなくせに、俺様なくせにこんな時に謝る。



『嫌な思いさせた』



嫌な思いなんてしてない。レイジが謝ることじゃないのに。誰のせいでもないのに。


受話器越しのレイジの声がなんだか少し悲しそうに聞こえるのは気のせいだろうか、私の勝手な思い込みだろうか。


そうならそれでいい、そっちの方がずっといい。



『甘く考えてたつもりはない。お前をこの世界に巻き込むこと、巻き込んだこと』



「うん」



『でも今日焦った、よりによってお前がいる時にあんな事になるなんて。俺の判断が間違ってたのかもしれないって、お前を傷付ける事になるのかもしれないって、リュウガが出張ってきたからなおさら。』



「………」



『お前今日リュウガと繁華街に行っただろ』



何で知ってるんだろうと思った。どっかからの噂だか情報なのか、それもとリュウガが車内でレイジと電話した時に言っていたのか



『あれはお前を守る為だ。リュウガのやつ本当余計な事してくれたよ』



繁華街に行った事が私を守る為?ちっとも分からない。レイジの言った意味がわからない。



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