ブラックⅠ-出会い-



『神谷組の若頭が街の中心をお前の肩を抱いて歩く、それだけで大きな意味がある。俺を敵に回したくなかったらこの女に手を出すなって』



「…………」



『リュウは今日の俺のミスをそうやって俺に遠回しに言ってんだよ。お前に守れるのか、守れないなら俺が守るって』



レイジのミスなんかじゃないのに、不可抗力なのにレイジは自分を責める。

リュウガもレイジを責めてるのかもしれない。わざと、私のために(らしい…)



2人が何でここまでして私を守ろうとしてくれてるのか、こんなに私はお世話になってて良いのか



『考えてた、お前とリュウが帰ってから』



「……」



静かな声、静かで落ち着いたレイジの声。どこか悲しげなそんな声



レイジは今まで何回こんな事を言ってきたんだろうか。


そして何人の人が彼から離れていったのかと思うと胸が痛くなった。




悪かったとか、嫌な思いさせたとか、何一つレイジのせいなんかじゃないのに。レイジの側に望んで自分でいるのに。




< 147 / 376 >

この作品をシェア

pagetop