ブラックⅠ-出会い-
そんな事を言わせてしまっている自分にも嫌気がさした。なんでさっき車で泣いたのかと、なんでレイジの胸に顔を埋めたのかと。
「大丈夫か?」と聞かれたとき「全然大丈夫〜」なんて言いながらおどけて言えばよかった。
あの時レイジはどんな思いで私に聞いたんだろう。どんな顔で見ていたんだろう。
『お前を俺の女にして良かったのか、俺の側になんか置いてよかったのか…』
もう限界だった。
限界すぎておとなしく聞いているなんてできなかった。これ以上レイジの悲しそうな声を聞いてる事なんて出来なかった。
「………判断って何?一緒にいるって事に判断なんているの?」
『………』私のいきなりの言葉にレイジが話を止める。
「リュウガがレイジに何を言いたかったのかとか、レイジが判断をしなきゃいけないこととか、私にはそんなの分かんない。全然分かんない。確かに今日怖かったよ、ビックリだってした。でもね、私が傷付く?レイジの考えが間違ってた?そんなの関係ないよ。」
『…………』
「人って判断して一緒にいるものじゃないでしょ、出会いに考えも判断もないでしょ。」
電話越しからレイジの声はしない。聞いてるのかも分からない。もしかしたら聞いていないのかもしれない。コイツ何言ってるんだって、何わけ分かんないこと言ってるんだって。でも私は続けた
「私はレイジと一緒にいたいからいるんだよ。ブラストの総長?そんなの関係ないよ、レイジと一緒にいると今日みたいな事がまたあるかもしれない。怖くないって言ったら嘘になるよ。また今日みたいな事があるかもしれないって分かってるよ」
『………』
「でもレイジは、そしたらレイジは守ってくれるでしょう?今日みたいに。私を守ってくれるでしょう?」
『………お前』
「私はレイジと今一緒にいることに後悔なんてしない。だからレイジもそんな事言うなら私と関わった事後悔しないで。私と一緒にいることを間違った判断なんて思わないで」