ブラックⅠ-出会い-
「あぁ、悪い。取り込み中だったか?」
勢い良く開かれた扉から出て来たのはスーツを着たまるでモデルのようなスラリとした長身の男。
その声は全く悪びれた様子もなく、謝罪する気も無いのか、チラりと私を視界に入れると男へと視線を向ける。
「お楽しみ中申し訳ないが、リュウガ 仕事だ。」
リュウガと呼ばれる目の前の男は、小さく舌打ちをすると密着していた私の身体を引き離しゆったりと座っていた身体を起こしてサイドテーブルへと手を伸ばす。
その動作はまるで一つの映画のワンシーンかのようにタバコへと火を付け、煙は高い換気扇へと吸い込まれていく。
そして私の身体は離された事により、ストンとまるで力が抜けたかのようにペタリと床へ腰が落ちた。