ブラックⅠ-出会い-
レイジはソファーで何やら車の雑誌か何かを読んでいて、私がイツキから少し離れて冷蔵庫に飲み物を取りに行ってすぐの事だった。
「ちょっ!コトネさんまぢで勘弁して下さい!俺がレイジに怒られちゃいますから!」
ドアの外で何やらカエデの焦った声。
カエデのこんな焦った声を聞いたのは初めてだと思う。
「大丈夫だって!そんな事したら私が捻り潰すから!」
その次に聞こえてくる女の人の声。
ここで自分以外の女の人の声を聞いたのは初めてだった。
だからなのか、何と無く不安に思った私はその視線をドアではなくレイジに向けていて、そしてレイジのしっかりとした舌打ちと眉間のシワを確認した後
「ダメですってば!!」
ドアからいきなり入り込んできたソレに、いや詳しくはその人に大きく目を見開くしかなかった。