ブラックⅠ-出会い-
入り口前で止まっていた女の人は、ツカツカとヒールをならしてレイジに近付くと
「この間、行かなかったらしいじゃない」
レイジが何処に行かなかったのかは分からないけど、あの日の事を思い出す。
ラーメン屋で「行かねぇ」そう言って怒ったように電話をしていた姿。
それとコレとが繋がっているのかは分からないけど、私にはそれしか分からない。
「月に一度行って居るのは知ってる。でもこれからはちゃんとああいう場にも出席しな」
この女の人は一体誰なんだとか、レイジは何処までシカトするつもりなのかとか
カエデとイツキは何の話をしているか分かってるのかとか、2人を交互に見つめるしかできなくて
「あなたの為に言ってるの。もし何かあった時、何か起こす為の時に、今やらなきゃいけない事はしとくべきだから。誰にも文句なんて言わせない為に、口出しさせ無い為にも」
この人が言ってる事は私には全く理解出来なかった。
でもこれだけは分かった。レイジの為にとても重たい事を言っているんだと言うことは。