ブラックⅠ-出会い-



入り口前で止まっていた女の人は、ツカツカとヒールをならしてレイジに近付くと



「この間、行かなかったらしいじゃない」



レイジが何処に行かなかったのかは分からないけど、あの日の事を思い出す。
ラーメン屋で「行かねぇ」そう言って怒ったように電話をしていた姿。


それとコレとが繋がっているのかは分からないけど、私にはそれしか分からない。



「月に一度行って居るのは知ってる。でもこれからはちゃんとああいう場にも出席しな」



この女の人は一体誰なんだとか、レイジは何処までシカトするつもりなのかとか

カエデとイツキは何の話をしているか分かってるのかとか、2人を交互に見つめるしかできなくて



「あなたの為に言ってるの。もし何かあった時、何か起こす為の時に、今やらなきゃいけない事はしとくべきだから。誰にも文句なんて言わせない為に、口出しさせ無い為にも」



この人が言ってる事は私には全く理解出来なかった。

でもこれだけは分かった。レイジの為にとても重たい事を言っているんだと言うことは。





< 165 / 376 >

この作品をシェア

pagetop