ブラックⅠ-出会い-
でもきっとこの人たちは可哀想な人なんだと思う。
「レイジさんなんてただの駒だから」
どうしようもなく可哀想な人たちなんだと思う。
「レイジさんだってリョクさんにはかなわない」
レイジ、レイジってさっきから連呼しまくる女集団
「ねぇ」
少し怒りを抑えた私の声。
なんだか分かった気がする。
「あなた達ってさ」
「なによ」
私は気が付いてしまった。
レイジレイジ連呼するこの人たちに、
やたらとレイジをけなす意味に。
「本当は好きなんでしょ」
「…………」
「本当はレイジが好きで仕方ないんでしょ」
「なっ!!」
一人の女がこれでもかってくらい半端な叫び声。
「本当はレイジに憧れて仕方ないんでしょ」
そんな私の声に「なんなの!」なんてザワつく彼女達。
「本当は近付きたくて仕方ない?」
「……………」
「なのに相手にされないからそんな事言うんでしょ?」