ブラックⅠ-出会い-



「お前が傷付くことじゃねェ」



目の前のレイジは、さっきみたいに意地悪な顔じゃない。さっきみたいにふざけたりなんてしない。



「気にすんな」



「気にするななんて無理だよ!だってレイジの事悪く言われてるのに…そんなの許せないよ!」




思わず目がうるっとした。
あまりにレイジが他人事みたいに言うから。



レイジはもちろん自分の周りの噂を知らないわけない。だからきっと私が何の事を言っているのかもわかってると思う。


さっき女達が言ったことだって。





「人に噂されて平気な人なんていないよ!」




「…………」




レイジは一体今まで何度いまの私みたいな気持ちになったんだろう。



何度自分の噂を耳にしたんだろう。



「アオイ」




そう言って目の周りを親指で拭うレイジ。




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