ブラックⅠ-出会い-



「だ…オイ…」



今でも鮮明に思い出せる。



あの日は確か強く雨が降っていた。



「アオ…ど…」




叫びすぎて喉からは血の味がしたのも覚えている。



もう思い出したくも無いのに、


小さな女の子が泣いている。
小さな小さな背中。



「大丈夫かアオイ!どうした!?」




ぼーっとする頭。
目の前にはリュウガの顔。



ハッと目を覚まして初めて気が付いた。
どうやら私はいつの間にかリビングで眠っていたらしい。



「リュウガ…」



やっとの思いで出した声はとても小さなものだったと思う。



「うなされてたぞ」



額には汗、
張り付く前髪をリュウガがかき分けてくれる。




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