ブラックⅠ-出会い-
「大丈夫か?」
スーツ姿のリュウガの肩は少し濡れていて、どうやらまだ雨は降り続いているらしい。
「うん…大丈夫、少し怖い夢を見ただけ」
怖い夢。
これは嘘じゃない。
だけど夢なんかでもない。
私の過去だ。
私の現実だ。
私の真実だ。
「こんなところで寝たら風邪引くぞ」
そういって私から離れていくリュウガ。
「………」
「………どうした?」
振り返る瞳、
黒く深い漆黒の瞳。
「……行かないで」
私はリュウガの腕を掴んでいた。