ブラックⅠ-出会い-
「おかえり」
もんもんと考えながらリビングのドアを開くと、珍しく私服姿のアキさんがキッチンに立っている。
「あ、ただいま。アキさん仕事終わったの?」
あまりにナイスなタイミングすぎるアキさんに、思わず目を見開く。
「今日は早かったんだ。ご飯カレーなんだけど食べる?」
笑顔のアキさんの方から漂ってくる美味しそうな香ばしい香り。
「うん!食べる」
キッチン前のカウンターに腰をかけると、白い可愛らしいお皿に盛られたカレーが私の前に置かれた。
「もうそろそろ学園祭だね」
まさに今、本当に今私が口に出そうとした言葉がアキさんの口から放たれる。
「アオイちゃんのクラスは何やるの?」
「和風喫茶!あのね!それでねアキさん!」
口に含んでいたカレーを急いで飲み込んで言葉を無理矢理出す私にアキさんは「ゆっくり食べな」なんて優しく微笑んだ。