ブラックⅠ-出会い-


レイジが連れて来てくれたのは駅前の有名なケーキ屋さんだった。



一つ一つが可愛くて選べない私をレイジは文句いいながらも待ってくれていたし、お会計になると当たり前かのように払ってくれた。



だから素直に「ありがとう」と言ったら何にも言わなかったけどそれが返事なんだと思った。




ーーーーー家に着くとそのままリビングへと向かうレイジに私も着いていく。




リビングに繋がるガラス戸を開けるとそこにはすでに帰って来ているリュウガとアキさんがいて



こんな時間に二人がいるのは珍しいけど、それはきっとアキさんが私の浴衣の為に早く帰ってきてくれたから。



「おかえり」




「ただいま」




笑顔で迎え入れるアキさんとは対照的に、こっちを見てすぐ目をそらしたリュウガ。



「もう着くみたいだよ」




それは多分浴衣を貸してくれる人の事だと思う。



ケーキをテーブルに置いて少ししたところでガチャリと扉が開く音。




「こんばんは」と透き通るような声の後に聞こえて来たのは「だからいらねぇって言っただろ」と隣で呟くレイジの声。




レイジの言ういらないって言うのは多分さっき買ってもらったウェルカムケーキの事だと思う。


身内だからそんなのいらねぇだろ。って事だったんだと今になってわかった。




扉からなんだか大荷物を持ってやってきたのはレイジのお姉様のコトネさんだった。




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