ブラックⅠ-出会い-
「カエデに聞いた、レイジと付き合ってるんだって?」
「あ、はい」
正確には付き合っているんじゃない。
付き合っているフリだ。
でもそれはコトネさんも知っていたらしく
「偽りの恋人だとしても、レイジが彼女作るなんてビックリ」
いつか聞いたことのある台詞。そうだ、初めて学校に行った日、周りから言われたんだ。
「あいつ、絶対一生彼女とか作らないんじゃないかって私心配してたの。女が嫌いなのよ」
私に手際良く浴衣を着付けながら少し困ったように笑うコトネさん、
女嫌いらしいレイジ。私にはそんなそぶり見せないし、学校でレイジが女の子と話してるのをほとんど見たことがないからそんなの気が付かなかった。
でも実は女が嫌いらしいレイジ。
「でもアオイちゃんには違うみたいね、なんか安心した。」
それはどうなんだろう…嫌われてはないと思うけど、だからってコトネさんが安心するようなことは私達の間には何もない。
何か、何か言わなきゃと口を開きかけた時だった
コンコンとノックされた扉
けど外からは特に声をかけて来るそぶりは無い。
「待ちきれないみたいね、アオイちゃんの浴衣姿」