ブラックⅠ-出会い-
手早く浴衣を着付けた後、パパッと髪の毛を巻いてアップに縛ってくれる。
「うん!可愛い!」
鏡に映る自分を見ながらワクワクとした気持ちになる。浴衣を着るのは初めてだった。
「ありがとうございます!」
ニコニコと緩んだ顔がおさまらない私に
「レイジをよろくしね」
これもまた聞いたことのある台詞。
いつかカエデに言われた台詞。
「うん」とも「はい」とも答えるよりも先に
「お待たせー!」なんて言いながらコトネさんは私の手を引いて扉を開けた。
まず最初に声を出してくれたのはやっぱりアキさん。
「うん、可愛い!さすがアオイちゃんだ」
何がさすがのかなんてさっぱり分からないけど、その向けられたキラースマイルに思わずクラっと目眩がする。
「ありがとう、嬉しい」
ソファーに座ってるレイジは一瞬だけこっちをチラッとみたけど、特に何にも言わず、まぁもとから褒めてくれるなんて期待してなかったけど
「似合ってる」
これは予想外だった。
ダイニングテーブルに座りながらこっちを見ていたリュウガ、そこから発せられた声に思わず驚く。