ブラックⅠ-出会い-
「どうした」
そんな私を知ってか知らずか、肩を抱いていたレイジが私を見つめる。
「何でもない」
王様なレイジ、凡人な私。
素敵なレイジ、キタナイ私。
どうしても自分とレイジを比べてしまう。
自分がレイジの横にいるのがおこがましいんじゃないかって。
こんな私が隣にいたらダメなんじゃないかって。
偽りの彼女ってこんなにも不安なんだ。
ニセモノって、こんなにも苦しいんだ。
今まで気にならなかったはずなのに、誰に何と言われても平気だったはずなのに。
いきなり苦しくなる現実に、
どうして今まで気がつかなかったんだろうと、
この胸の音に。