ブラックⅠ-出会い-
一瞬その場の雰囲気が静まりかえる。
そして廊下からはワンテンポ遅れて「きゃー」だとか「いいなー!」だとかの声。
目の前のレイジは……
何だか少し驚いているようだった。
明らかに頬を真っ赤にして顔を背けた私に。
「おい、」
やめて、こっち見ないで。
「お前」
背けた顔を無理矢理こっちへ向けようとしてくるレイジ。
「熱でもあるのか?」
「バカか!」と思わず叫びそうになったのを頑張ってこらえた。
まさかこんなすっとぼけた事をレイジが言うなんて、私の顔が赤いのを熱のせいだと思っているなんて。
本当に本当に「アホか!」と言いたくなった。