ブラックⅠ-出会い-
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カンカンと鉄製の階段を登って扉の前で一度立ち止まる。
カエデは「頑張れ」と言って私の頭を撫でると、ガレージに溜まっているメンバーの中へ紛れていった。
どうしよう、
なんて言おう。
あの時、レイジは一体どんな気持ちだったんだろう。
緊張してたのかな、それとも全然へっちゃらだったのかな。
レイジの事だから、へっちゃらだったのかもしれない。
いつも通りの、平常心だったのかもしれない。
でも私は無理だ、
そんな強い心臓なんか持ち合わせていない。
意を決して、
少しだけ錆び付いたドアノブにそっと手をかけると、ゆっくりとその鉄の塊を引いた。