ブラックⅠ-出会い-


「アオイちゃん、おいで」



アキさんは私の手を取ると、落ちていたストールをかけてくれる。


郁也に付けられた赤い竜のピアス。
これは牙竜のメンバーのみが付ける事の許されるピアス。



それを外すということは、もう私とあいつの関係が終わるということ。



そう考えると安心感でまた涙が溢れだした。




「きっとこれからアオイちゃんにはリュウガの家に住んでもらうと思う」



リュウガさんの家?え?どゆこと?




「俺らと関わった以上、君を一人にするわけにはいかない。まぁアオイちゃんの親には…俺が伝えるから安心して」



アキさんは私の両親へなんと言おうか考えているのか、少しばかり考え込んだ表情になる。



「いや、あの…うち両親ともいないんです。」




そうじゃなきゃ、郁也にこんなことをされることもなかった。親のいない私は最近まで郁也の家で生活させられていた。



「そうか、じゃあその部分は問題ないな」



アキさんは特に驚く様子もなく、何故両親がいないのかも聞くことなく頷いた。

そんなアキさんの対応に大人だと感心。






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