ブラックⅠ-出会い-
はぁはぁと息を切らしながら必死で走る。こんなに本気を出して走ったのはいつぶりだろうか…
「えーと、こっちだっけ?」
いつもレイジのバイクか車で学校まで来る私が、もちろん周囲の詳しい道を知っているはずもなく
駅前くらい分かるはず!何とかなるでしょ!と思って威勢良く出てきたものの
「ん?あれ?ここ…どこ…?」
まんまと迷った。
え、待って全然分かんない!
そうだ携帯!携帯のナビゲーション的なの使おう!
そこまでの私は冴えてた、ちゃんと冴えてた。
だけど、
「あれ、ない。携帯ない!」
スクールバッグの何処を探しても携帯がない。もちろん制服のポケットにもない。
どうしよう、誰かに聞いた方がいいよね。迷ってる時間なんて私にはないんだ。
50分しか時間ないんだから。